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国際会計基準(IFRS)

国際財務報告基準(IFRS)が導入されると、日本基準においては資産計上されていなかった「無形資産」についても、一定の条件のもと資産計上しなければならなくなります。国際財務報告基準(IFRS)導入により、これまで以上に無形資産の価値、研究開発投資の意義を強く意識する必要があると言えるでしょう。ここでは国際財務報告基準(IFRS)における「無形資産」に関する会計のルールについて分かりやすく説明します。

1.【無形資産の会計ルール】無形資産に関する会計のルールはどこに記載されているの?

2.【無形資産の定義】IFRSでいう無形資産って何?

3.【無形資産の認識】どういうものを無形資産として認識するの?

4.【無形資産の取得】無形資産の取得ルートとは?

5.【無形資産の測定】無形資産の価値はどのように測定するの?

6.【無形資産の減価償却】無形資産の耐用年数、償却方法とは?

【英語による表記】

国際財務報告基準(IFRS : International Financial Reporting Standards)

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

1.【無形資産の会計ルール】無形資産に関する会計のルールはどこに記載されているの?

一般に日本でIFRS(イファースないしアイファス)と呼ばれているものは、

国際会計基準審議会(IASB)及びその前身である国際会計基準委員会(IASC)が作成した
国際財務報告基準(IFRS)及び国際会計基準(IAS)ならびに解釈指針等からなる会計基準群の総称です。

現在適用されている、または、今後適用される基準は以下の38の基準になります。

このうち、国際会計基準(IAS)第38号に「無形資産」に関する会計のルールが記載されています。

国際会計基準(IAS)第1号 財務諸表の表示

国際会計基準(IAS)第2号 棚卸資産

国際会計基準(IAS)第7号 キャッシュ・フロー計算書

国際会計基準(IAS)第8号 会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬

国際会計基準(IAS)第10号 後発事象

国際会計基準(IAS)第11号 工事契約

国際会計基準(IAS)第12号 法人所得税

国際会計基準(IAS)第16号 有形固定資産

国際会計基準(IAS)第17号 リース

国際会計基準(IAS)第18号 収益

国際会計基準(IAS)第19号 従業員給付

国際会計基準(IAS)第20号 政府補助金の会計処理及び政府援助の開示

国際会計基準(IAS)第21号 外国為替レート変動の影響

国際会計基準(IAS)第23号 借入費用

国際会計基準(IAS)第24号 関連当事者の開示

国際会計基準(IAS)第26号 退職給付制度の会計及び報告

国際会計基準(IAS)第27号 連結及び個別財務諸表

国際会計基準(IAS)第28号 関連会社に対する投資

国際会計基準(IAS)第29号 超インフレ経済下における財務報告

国際会計基準(IAS)第31号 ジョイント・ベンチャーに対する持分

国際会計基準(IAS)第32号 金融商品:表示

国際会計基準(IAS)第33号 1株当たり利益

国際会計基準(IAS)第34号 中間財務報告

国際会計基準(IAS)第36号 資産の減損

国際会計基準(IAS)第37号 引当金、偶発債務及び偶発資産

国際会計基準(IAS)第38号 無形資産

国際会計基準(IAS)第39号 金融商品: 認識及び測定

国際会計基準(IAS)第40号 投資不動産

国際会計基準(IAS)第41号 農業

国際財務報告基準(IFRS)第1号 国際財務報告基準の初度適用

国際財務報告基準(IFRS)第2号 株式報酬

国際財務報告基準(IFRS)第3号 企業結合

国際財務報告基準(IFRS)第4号 保険契約

国際財務報告基準(IFRS)第5号 売却目的で保有している非流動資産及び廃止事業

国際財務報告基準(IFRS)第6号 鉱物資源の探査及び評価

国際財務報告基準(IFRS)第7号 金融商品:開示

国際財務報告基準(IFRS)第8号 セグメント別報告

国際財務報告基準(IFRS)第9号 金融商品

これらの情報は国際会計基準審議会(IASB)のホームページから入手することができます。ただし、アカウントの登録が必要になります。

【英語による表記】

国際会計基準審議会(IASB : International Accounting Standards Board)

国際会計基準委員会(IASC : International Accounting Standards Committee)

国際財務報告基準(IFRS : International Financial Reporting Standards)

国際会計基準(IAS : International Accounting Standards)

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

2.【無形資産の定義】IFRSでいう無形資産って何?
まずは、「資産」や「無形資産」という言葉がどのように定義されているのかを見てみましょう。
資産【定義】
資産とは、
   (a)過去の事象の結果として企業が支配し、かつ
   (b)将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される
という2つの要件を満たす資源(resource)をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。
無形資産【定義】
また、無形資産とは、
   物質的実体のない識別可能な非貨幣性資産
をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。
つまり、次の5つの要件を全て満たすものが国際会計基準(IAS)第38号でいう無形資産であるということができます。

1.過去の事象の結果として企業が支配している資源であること

2.将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される資源であること

3.物質的実体がないこと

4.識別可能であること

5.非貨幣性資産であること
これらの5つの要件についてもう少し詳細に見ていきましょう。

   1.過去の事象の結果として企業が支配している資源であること
企業は、対象となる資源から生ずる将来の経済的便益を獲得する力を有し、かつ、それらの便益を他者が利用することを制限できる場合に、資産を支配しているといえます(国際会計基準(IAS)第38号 第13項)。

   2.将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される資源であること
無形資産から生じる将来の経済的便益には、製品又はサービスの売上収益、費用削減又は企業による資産の使用によってもたらされるその他の利益が含まれます。例えば、製造工程における知的資産の使用は、将来の収入の増加よりもむしろ将来の製造原価の減少につながる可能性があります(国際会計基準(IAS)第38号 第17項)。

   3.物質的実体がないこと
無形資産は物質的実体がなく、目で見ることも、手で触ることもできません。この点で有形固定資産とは異なります。
実際に無形資産はコンパクトディスクの中にプログラムなどの形で保存されている場合があります。このように、無形及び有形の双方の要素が一体となっている資産についてはどのように処理すれば良いのでしょうか?このような場合、企業はいずれの要素が重要であるかによって判断します(国際会計基準(IAS)第38号 第4項)。

   4.識別可能であること
資産は、次のいずれかの場合には識別可能です。
(a)分離可能である場合、すなわち、企業から分離又は分割でき、かつ、企業にそうする意図があるかどうかに関係なく、個別に又は関連する契約ごとに、識別可能な資産又は負債と一緒に売却、譲渡、ライセンス、賃貸又は交換ができる場合
(b)契約又はその他の法的権利から生じている場合
(国際会計基準(IAS)第38号 第12号)
「無形資産」は識別可能であることを要求していますが、それは「のれん(goodwill)」と区別するためです(国際会計基準(IAS)第38号 第11号)。
企業結合で認識されるのれんは、企業結合で取得した他の資産で個別に識別されず、独立して認識できない資産から生じる将来の経済的便益を表す資産です(国際会計基準(IAS)第38号 第11号)。
また、自己創設のれんは資産として認識することはできません(国際会計基準(IAS)第38号 第48号)。

   5.非貨幣性資産であること
貨幣性資産とは、
   保有している貨幣及び固定額又は決定可能な額の貨幣を受領することとなる資産
をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。
よって、非貨幣性資産とは、
   保有している貨幣ではなく
   固定額又は決定可能な額の貨幣を受領することにならない資産
といえます。
なお、無形資産の一般的な事例としては、
   コンピュータのソフトウェア
   特許
   著作権
   映画フィルム
   顧客名簿
   モーゲージ・サービス権
   漁業免許
   輸入割当額(量)
   独占販売権
   顧客又は仕入先との関係
   顧客の忠実性
   市場占有率
   市場取引権
などがあります(国際会計基準(IAS)第38号 第9項)。
【参考資料】
IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより
国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

3.【無形資産の認識】どういうものを無形資産として認識するの?

無形資産は、


(a)無形資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ、


(b)無形資産の取得原価を、信頼性をもって測定することができる

という2つの要件を満たす場合に、かつ、その場合にのみ認識しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第21号)。

また企業は、期待される経済的便益の発生可能性を査定するにあたり、資産の耐用年数にわたって存在するであろう一連の経済状況に関する経営者の最善の見積もりをあらわす、合理的で支持し得る前提を基礎にしなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第22項)。

無形資産を認識する際の2つの要件についてもう少し詳細に見ていきましょう。

   (a)無形資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高いこと

無形資産から生じる将来の経済的便益には、製品又はサービスの売上収益、費用削減又は企業による資産の使用によってもたらされるその他の利益が含まれます。例えば、製造工程における知的資産の使用は、将来の収入の増加よりもむしろ将来の製造原価の減少につながる可能性があります(国際会計基準(IAS)第38号 第17項)。

また、企業は無形資産の使用に起因する将来の経済的便益の流入の確実性の程度を、無形資産認識(当初認識:initial recognition)の時点における入手可能な証拠(そのうち外部証拠により重点をおく)に基づき判断しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第23項)。

   (b)無形資産の取得原価を、信頼性をもって測定することができること

取得原価とは、資産の取得時又は建設時において、当該資産取得のために支出した現金もしくは現金同等物の金額等をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

この取得原価について信頼性をもって測定できることが必要になります。

無形資産の取得ルートごとに認識方法を説明します。

===個別取得した無形資産の当初認識===

通常、無形資産を個別に取得する場合は、その流入の時期又は金額に関して不確実性があるとしても、企業は経済的便益の流入があると期待しているといえます。したがって、「(a)資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高」いという要件は常に満たされていると考えられます(国際会計基準(IAS)第38号 第25項)。

個別に取得した無形資産の取得原価は、通常、信頼性をもって測定できます(国際会計基準(IAS)第38号 第26項)。購入対価が現金又は他の貨幣資産の形態である場合、これは特に明白です(国際会計基準(IAS)第38号 第26項)。よって、「(b)資産の取得原価を、信頼性をもって測定することができること」の要件を満たします。通常、無形資産を個別に取得するために企業が支払う価格は、資産に包含される、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性に関する期待を反映しています(国際会計基準(IAS)第38号 第25項)。

(個別取得した無形資産の当初測定)についてはこちら

===企業結合の一部として取得した無形資産の当初認識===

企業結合により無形資産が取得された場合は、その流入の時期又は金額に関して不確実性があるとしても、企業は経済的便益の流入があると期待しているといえます。したがって、「(a)資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高」いという要件は常に満たされていると考えられます(国際会計基準(IAS)第38号 第33項)。また、企業結合で取得された資産が分離可能であるか又は契約その他の法的権利から発生している場合には、当該資産の公正価値を測定するのに十分な情報が存在しています。それゆえ、企業結合で取得された無形資産については、「(b)資産の取得原価を、信頼性をもって測定することができること」の要件は常に満たされると考えられます(国際会計基準(IAS)第38号 第33項)。

(企業結合の一部として取得した無形資産の当初測定)についてはこちら

===自己創設した無形資産の認識===

まず、自己創設した無形資産が認識規準を満たすか否かを判定するため、企業は資産の創出過程を「研究局面(research phase)」と「開発局面(development phase)」に分類します(国際会計基準(IAS)第38号 第52項)。そして、開発から生じた無形資産は、次の要件をすべて満たす場合限り認識されます。

開発から生じた無形資産は、

(a)使用又は売却できるように無形資産を完成させることの、技術上の実行可能性

(b)無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図

(c)無形資産を使用又は売却できる能力

(d)無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法。とりわけ、企業は、無形資産による産出物又は無形資産それ自体の市場の存在、あるいは、無形資産を内部で使用する予定である場合には、無形資産が企業の事業に役立つことを立証しなければならない

(e)無形資産の開発を完了させ、さらに、それを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性

(f)開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力

以上の全てを企業が立証できる場合に限り、認識しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第57項)。

(自己創設した無形資産の当初測定)についてはこちら

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

4.【無形資産の取得】無形資産の取得ルートとは?

無形資産の取得ルートには、次の5つがあります。

   1.個別の取得

   2.企業結合の一部としての取得

   3.政府補助金による取得

   4.資産の交換による取得

   5.自己創設による取得

以下、それぞれについて説明します。

   1.個別の取得

無形資産を個別に取得する場合です。

個別取得した無形資産の当初認識

個別取得した無形資産の当初測定

   2.企業結合の一部としての取得

無形資産を企業結合(M&Aなど)で取得する場合です。

企業結合の一部として取得した無形資産の当初認識

企業結合の一部として取得した無形資産の当初測定

   3.政府補助金による取得

政府補助金を使用して無償又は名目価格で無形資産を取得する場合です(国際会計基準(IAS)第38号 第44項)。

   4.資産の交換による取得

非貨幣性資産、あるいは貨幣性資産と非貨幣性資産の組み合わせとの交換により無形資産を取得する場合です(国際会計基準(IAS)第38号 第45項)。

   5.自己創設による取得

無形資産を内部で創出する場合です。

自己創設した無形資産の認識

自己創設した無形資産の当初測定

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

5.【無形資産の測定】無形資産の価値はどのように測定するの?

無形資産の測定には、次の2種類があります。


1.認識当初の測定


2.認識後の測定

ここで「測定」とは、経済活動を会計測定単位(貨幣単位など)によって、数値に変換することです。

   1.認識当初の測定

認識当初の測定は、取得原価で行わなくてはなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第24項)。取得原価とは、資産の取得時又は建設時において、当該資産取得のために支出した現金もしくは現金同等物の金額等をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

無形資産の取得ルートごとに当初測定方法を説明します。

===個別取得した無形資産の当初測定===

個別に取得した無形資産の原価は以下から構成されます。

(a)購入価格

(b)意図する利用のために資産を準備するために直接配分可能な原価

(国際会計基準(IAS)第38号 第27項)

ここで、(b)の直接配分可能な原価の例としては、

(a)当該資産を作業環境に適応させることから直接生じる従業員給付

(b)当該資産を作業環境に適応させることから直接生じる専門家報酬

(c)当該資産が適切に機能するか否かをテストする原価

などがあります(国際会計基準(IAS)第38号 第28項)。

(個別取得した無形資産の当初認識)についてはこちら

===企業結合の一部として取得した無形資産の当初測定===

企業結合により無形資産が取得された場合は、当該無形資産の取得原価は取得日現在の公正価値になります(国際会計基準(IAS)第38号 第33項)。公正価値とは、独立第三者間取引において、取引の知識がある自発的な当事者の間で、資産が交換されうる価額をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

(企業結合の一部として取得した無形資産の当初認識)についてはこちら


===自己創設した無形資産の当初測定===

自己創設した無形資産の取得原価として何を計算の対象とすればよいか、図を用いて説明します。

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自己創設無形資産の取得原価は、開発から生じた無形資産の認識規準を最初に満たした日以降に発生する支出の合計になります(国際会計基準(IAS)第38号 第65項)。

また、当初費用として認識した無形項目に関する支出は、後日、無形資産の取得原価の一部として認識してはなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第71項)。

研究【定義】

研究とは、新規の科学的又は技術的な知識及び理解を得る目的で実施される基礎的及び計画的調査をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

なお、「研究局面」という用語は、「研究」より広範な意味をもちます(国際会計基準(IAS)第38号 第52項)。

研究活動の例として次のようなものがあげられます。

(a)新しい知識を得ることを目的とした活動

(b)研究成果又は他の知識の応用の調査、評価及び最終的選択

(c)材料、装置、製品、工程、システム又はサービスに関する代替的手法の調査

(d)新規の又は改良された材料、装置、製品、工程、システム又はサービスに関する有望な代替的手法等についての定式化、設計、評価及び最終的選択

(国際会計基準(IAS)第38号 第56項)

開発【定義】

開発とは、商業ベースの生産又は使用の開始前における、新規の又は大幅に改良された材料、装置、製品、工程、システム又はサービスによる生産のための計画又は設計への、研究成果又は他の知識の応用をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

なお、「開発局面」という用語は、「開発」より広範な意味をもちます(国際会計基準(IAS)第38号 第52項)。

開発活動の例として次のようなものがあげられます。

(a)生産又は使用する以前の、試作品及び模型に関する設計、建設及びテスト

(b)新規の技術を含む、工具、治具、鋳型及び金型の設計

(c)事業場生産を行うには十分な採算性のない規模での、実験工場の設計、建設及び繰業

(d)新規の又は改良された材料、装置、製品、工程、システム又はサービスに関して選択した、代替的手法等についての設計、建設及びテスト

(国際会計基準(IAS)第38号 第59項)

自己創設無形資産の取得原価は、その資産の生成、製造及びその資産を経営者が意図する方法により操業可能とするための準備に必要な、直接配分可能な原価のすべてから構成される。直接配分可能な原価の例としては以下のようなものがあげられます(国際会計基準(IAS)第38号 第66項)。

(a)無形資産を創出する上で使用又は消費した材料及びサービスに関する原価

(b)無形資産の創出から生じる従業員給付の原価

(c)法的権利を登録するための手数料

(d)無形資産を創出するために用いられる特許及びライセンスの償却

次のようなものは自己創設無形資産の取得原価に該当しません。

(a)販売、管理及びその他一般の間接的支出。ただし。この支出が資産の使用のための準備に直接起因する場合を除く。

(b)識別された非能率ロス及び資産が計画した稼働に至るまでに発生した当初の操業損失

(c)資産の操業に必要な職員の訓練に関する支出

(国際会計基準(IAS)第38号 第67項)

(自己創設した無形資産の認識)についてはこちら

   2.認識後の測定

認識後の測定において、企業は、原価モデル又は再評価モデルのいずれかを会計方針として選択しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第72項)。

===原価モデル===

当初認識後の測定において原価モデルを採用する場合は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して計上しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第74項)。

===再評価モデル===

当初認識後の測定において再評価モデルを採用する場合は、再評価日の公正価値から再評価日以降の償却累計額及び減損損失累計額を控除した、再評価額で認識しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第75項)。

本基準の下での再評価の目的上、公正価値は活発な市場を参照して決定しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第75項)。

ある無形資産について再評価モデルを用いて無形資産を会計処理する場合、同じ区分のその他のすべての無形資産もまた、それらの資産に活発な市場がない場合を除き、同じ方式で会計処理しなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第72項)。

ここで同じ区分の無形資産とは、企業の業務において同様の特性のある資産のグループ、また同様に使用される資産のグループをいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第73項)。

公正価値【定義】

資産の公正価値とは、独立第三者間取引において、取引の知識がある自発的な当事者の間で、資産が交換されうる価額をいいます(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)。

活発な市場【定義】

活発な市場とは、次の全ての状況が存在する市場をいいます。

(a)市場内で取引される物品は同質である。

(b)自発的な買手と売手を通常いつでも見つけることができる。

(c)価格が公表されている。

(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編

6.【無形資産の減価償却】無形資産の耐用年数、償却方法とは?

耐用年数【定義】

耐用年数とは、次のいずれかをいいます。

(a)資産が企業によって利用可能であると予想される期間

(b)企業がその資産から得られると予測される生産高又はこれに類似する単位数

(国際会計基準(IAS)第38号 第8項)

===無形資産の耐用年数===

無形資産の耐用年数を決定するにあたっては、次のような多くの要因を検討します。

(a)企業が予定する使用方法、及び他の管理者チームによる資産の有効な運営の可能性

(b)その資産の典型的な製品ライフサイクル、及び同様の用途に供される同様の資金の耐用年数の見積もりに関し公表されている情報

(c)技術上、技術工学上、商業上又はその他の要因による陳腐化

(d)資産が操業している産業の安定性、及び資産から産出される製品又はサービスに対する市場の需要の変化

(e)競争相手又は潜在的な競争相手の予想される行動

(f)資産からの期待される将来の経済的便益を入手するために必要となる維持支出の水準、及びその水準を達成するために必要な企業の能力及び意図

(g)資産を支配する期間、及び関係するリース契約の終了期限のような、資産の使用に関する法的又は同様の制限

(h)窓外資産の耐用年数が、企業の他の資産の耐用年数に依存するか否か

(国際会計基準(IAS)第38号 第90項)

耐用年数を確定できる場合確定できない場合とで償却の方法が異なります(国際会計基準(IAS)第38号 第89項)。

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===耐用年数を確定できる場合===

耐用年数を確定できる無形資産の償却可能価額は、当該資産の耐用年数にわたり規則的に配分されなければなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第97項)。

===耐用年数を確定できない場合===

耐用年数を確定できない無形資産は償却してはなりません(国際会計基準(IAS)第38号 第107項)。ただし、企業は、当該資産の帳簿価額と回収可能価額とを比較することにより、以下の時期に減損テストを行う必要があります。

(a)毎年

(b)当該無形資産に現存の兆候がある場合はいつでも

(国際会計基準(IAS)第38号 第108項)

===償却期間及び償却方法の見直し===

耐用年数を確定できる無形資産の償却期間及び償却方法は、少なくとも各事業年度末において見直さなければならない。資産について見積耐用年数が従来の見積りと大きく相違する場合には、償却期間は、それにも基づいて変更されなければならない(国際会計基準(IAS)第38号 第104項)。

【参考資料】

IAS第38号原文:国際会計基準審議会(IASB)ホームページより

国際財務報告基準(IFRS):国際会計基準委員会財団編